投資をするにあたって、どうしても考慮しなければならないのが「コスト」、手数料です。
なかでもファンドのコストは他の投資商品より複雑で高いものになっています。
安ければ良いと思うコストですが、運用にあたっては果たしてそうなのでしょうか、コストの仕組みから考え方をまとめてみました。
ファンドのコストの種類と特徴
まず、投資信託のコストの種類として、申し込み手数料、管理費、信託報酬、管理費などがあります。
申し込み手数料
ファンドを購入する際に支払う料金です。
一般的なファンドでは、購入金額の1~3%程度かかり、特殊な私募ファンドなどはそれ以上4%などかかるケースもあります。
これは販売している窓口になっている金融機関(証券会社や銀行など)に払うものであり、負担する金額としてはかなり大きなものになってしまいます。
ETFの場合はかかりませんが、その代わりに取引所の売買手数料がかかります。
意外と知られていないことですが、同じファンドでも購入する金融機関によってこの申し込み手数料の料率は違います。
同じファンドを買う場合でも、A銀行では2%、B証券では3%なんてこともあります。同じ商品を買うのであればもちろん安い金融機関で購入した方が良いでしょう。
信託報酬
ファンドの運用の対価として支払う料金です。
投資を専門の運用会社に任せているファンドとしては、その運用を行っている期間毎日かかるものです。
インデックスファンドの場合運用としての行為があまりないため、こちらはほとんどかかりません。
アクティブファンドの場合、年間1~2%程度かかります。特にリサーチの難しい小型株や海外株などの場合多くかかります。
これはファンドの性質上はどうしてもかかるコストですが、その分良い運用をしてくれるなら投資家としては払う価値のあるものでしょう。
管理費
主にファンドを管理するために支払う料金です。
私募ファンドなどでかかるケースが多く、私募ファンドの場合は運用の対価である信託報酬もこちらの管理費として徴収されます。
公募投資信託ではあまり大きなものはかかりませんが、私募ファンドの場合、運用の対価も兼ねているため、年間4〜5%かかる場合もあります。
その他コスト
投資信託では解約時にとられる解約手数料や信託財産留保額、ヘッジファンドなどでかかる成功報酬、ほかにもファンドを維持するための雑費などが取られることがあります。
成功報酬の仕組みについては海外では主流になっていますが、まだ日本で採用しているファンドは多くありません。
その仕組みは運用会社も投資家もウィンウィンになるような仕組みなので、詳しくは別記事でご紹介します。
コストは基本的に2種類
以上のようにファンドのコストには、いろいろな場面でいろいろな取られ方をするものがあり、複雑です。
しかし、日本においてはシンプルに2種類と考えてよいでしょう。
申し込み手数料にあたるイニシャルコスト(初期費用)と、保有している間ずっとかかるランニングコスト(維持費用)です。
ファンドのコストを抑えるためのポイント
では、そのイニシャルコストとランニングコストを抑えるヒントをご紹介します。
イニシャルコストを抑える方法
申し込み手数料は、購入する時に「だけ」かかる手数料です。
そのため、長期保有をすればその間はかからないということになります。
長期保有ができるファンド選びということがここで重要になってきます。長期保有できるファンドを選ぶためには、少なくとも過去5年以上の運用実績があり、効率性を示すシャープレシオが良いものを選ぶ必要があります。
そのため、新規設定されたばかりで実績の少ないファンドや、パフォーマンスがずっと低迷しているファンドは避けましょう。
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次に、申し込み手数料は販売されている金融機関によって料率が異なる場合があります。
例えば、特定のファンドを買いたい場合、A銀行では2%、B証券では3%なんてことがあります。
あまりこれについては知られていないことであり、比較することも少ないかと思います。
同じファンドを買うのであれば、申し込み手数料は安いに越したことはないので、複数の金融機関で取り扱いのあるファンドの場合、申し込み手数料の比較をしたうえで安いところで購入しましょう。
ランニングコストを抑える方法
信託報酬や管理報酬などは、ファンドによって決められているため、投資家がどうもできない部分ではあります。
しかし、実は日本のファンドではランニングコストを二重三重に取られているケースがあるのです。
それは、ファンドオブファンズ形式のファンドです。ファンドオブファンズとは、わかりやすく言うと、「ファンドに投資をするファンド」です。
ファンドオブファンズにもメリットがありますが、デメリットの最大のものがこのコストが二重に取られている、ということです。
ファンドオブファンズの詳細は別記事で紹介しますが、日本の投資信託ではこのパターンが多く、名前を変えているだけで実は海外のファンドに投資をしているだけ、というものもあります。
その場合は必ず運用報告書などにファンドオブファンズという記載があるのでそちらをチェックしたうえでファンド選びをしましょう。
どうしてもランニングコストを安く抑えたい、という方はシンプルにインデックスファンドを選んだほうが賢明です。
「低コストなファンドを選ぶ」は禁物
投資を始めようとしている方や、投資初心者の方にありがちなのが、「とにかくコストが安いファンドを選びたい」という考え方です。
この考え方は投資では禁物です。
なぜなら、ファンドはそれぞれ中身が違うからです。中身が違うということは運用している対象も異なるし、銘柄選定のやり方もファンドごとに異なります。
重要なのは、「コスト控除後のパフォーマンスで考える」ということです。
例えば、手数料が5%のファンドで手数料を引いたあとの利益が10%の場合と、手数料が1%のファンドで手数料を引いたあとの利益が2%の場合では、前者の方を選ぶと思います。
実際はリスクがどうかとか選ぶポイントはありますが、ここではリターンだけに限って考えてみてください。
全く同じ運用をする2つのファンドがあったとすると、手数料が安いほうが良いに決まっています。しかし、ファンドの中に同じ運用をするものは基本的にありません。
スーパーに行って、高いブランド牛と安い豚肉を比較しているようなものです。
ファンドは手数料だけで比較してはいけないということは忘れないでください。
ただし、同じ指数を対象にしているインデックスファンドを選ぶ場合は異なります。指数の動き自体は一緒なので、低コストな方を選んだほうが良いということになります。